活用事例

天然水・フレーバーウォーターの製造

サントリープロダクツ 株式会社 様

「奥大山の天然水」をはじめ、「ヨーグリーナ」や「朝摘みオレンジ」など、フレーバーウォーターの製造を行っている天然水奥大山ブナの森工場。サントリーグループにて2017年1月に策定され、環境基本方針の最上位に掲げられた『水理念』を、こちらの工場では実践の最前線として取り組まれています。私たちの想像をはるかに超えた次元で水を大切にし、水を育てる、まさに「水と生きる」企業、サントリーグループの姿勢を強く感じました。

サントリープロダクツ 株式会社 様

(右から二番目)サントリープロダクツ ブナの森工場 製造部門課長 中村 栄治氏
(左から二番目)同工場 製造部門 製造技術G 大西 章弘氏
(左)弊社営業部 F&M 遠藤 雅寿
(右)弊社営業部 松尾 卓

サントリープロダクツ株式会社 天然水奥大山ブナの森工場では、メカニカルシールのない三和ハイドロテック製マグネットポンプ、「マグパック」シリーズを5台導入していただいています。今回は、製造部門課長の中村栄治様および、同部門 製造技術グループ大西章弘様に、三和ポンプの使い勝手や導入後の効果、気になる点など率直な感想を伺いました。(以下、敬称略)

「マグパック」について詳しくはコチラ

サントリープロダクツ株式会社
サントリープロダクツ株式会社
サントリープロダクツ株式会社

2017年12月に取材させていただいたときは、雪の合間に青空が顔をのぞかせるような天候でした。
日中での気温は-3℃~1℃程度。標高の高さと山深さをあらためて意識させるこの環境が、貴重な奥大山の天然水を育んでいます。

「水と生きる」サントリー天然水奥大山ブナの森工場

こちらでは何を製造されているのでしょうか。

製造部門課長 中村 栄治氏

製造部門課長 中村 栄治氏

中村課長:ミネラルウォーター「奥大山の天然水」をはじめ「乳酸菌ヨーグリーナ」、「朝摘みオレンジ」などのフレーバーウォーターを製造しています。

奥大山ブナの森工場での基本的な考え方を教えてください。

中村課長:まず、天然水なくては工場が稼働できません。大山の天然水は「軟水の中の軟水」といわれ、日本の風土に合った安心で体にやさしい水です。
その天然水の品質も標準をクリアしているというだけではなく、さらにより良いレベルで、安定を保ち続けられるように活動しています。奥大山の水は素材そのものが美しいと私は感じています。その素材であるくみ上げた水の性質に変化がないかを気にかけています。

具体的にはどのようにして品質を保たれているのでしょうか。

中村課長:品質管理の方法としては、クロマトグラフィー、濁度計、温度管理などが行われていますが、それよりも人間の五感で感じる「官能」を大切にしています。

水に対する官能とは、たとえば味のようなものですか?

中村課長:これは少し説明がむずかしいのですが、味もありますが、とりわけ匂いを気にかけています。日々、水の匂いを嗅ぎ、飲んで確かめることで、わずかな匂いや味に違和感があった場合にそれを感じられるようになります。天然水の匂いについては無臭であることが基本で、フレーバーウォーターについては普段の香り以外の匂いが混じっていないかを確かめています。味については、わずかなものですがたとえば甘さなどを感じられるようになります。

それほど微細な管理をされていることから水の大切さが伺えます。

中村課長:サントリーは2017年1月に『水理念』を策定し、水に生かされ、水を生かす企業として全社的に水のサスティナビリティに取り組んでいます。
今回のポンプ導入にあたっても第一には節水があり、そしてメンテナンスの容易さがありました。水を大切に使う「節水」は私たちの理念にかなうものです。

――それでは三和ハイドロテックの「マグパック」ポンプがどのようにお役に立てているのかについて伺ってまいりたいと思います。

そこにあることを忘れるぐらいの安心感
ポンプのことを気にかけなくてよくなりました

三和ハイドロテック製のポンプはどのような場所で使われていますか?

大西氏:基本的にはフレーバーウォーターの滅菌器ユーティリティラインで使われています。温度を上げた水を熱交換器に送り、その中を通るプロセスラインを熱処理にて殺菌する工程で使っています。熱処理用の水は段階的に昇温されて熱水となり、熱処理による熱交換が終わると冷却されて戻ります。つまりは、製品を暖めたり、冷やしたりするための水を移送するポンプになります。

製造部門 製造技術G 大西 章弘氏

製造部門 製造技術G
大西 章弘氏

滅菌器へ熱水を送るマグパック。滅菌器ユーティリティラインの起点となるポンプ。

滅菌器へ熱水を送るマグパック。
滅菌器ユーティリティラインの起点となるポンプ。

滅菌器の熱処理工程部分。

滅菌器の熱処理工程部分。

三和ハイドロテック製のポンプの印象はいかがですか。

大西氏:正直に言ってしまうと・・・あるのを忘れてしまいます。言い換えればそれだけ気にしなくていいポンプだと言えます。

それは良いことだと考えていいんでしょうか?

大西氏:ええ、その通りです。トラブルとかの心配をしなくてよくなった・・・とは言い過ぎですが、少なくともトラブルが思い浮かんだり、トラブルを気にしていなくてもいいポンプだということです。

「マグパック」は金属製ですが高温液の移送に役立っていますか。

大西氏:樹脂製と比較してということですが、ユーティリティラインなのでHACCPの対象ではなく、そこまでサニタリー製を追求するものではありません。ですから、あまり金属製ということは意識していませんでした。ただ温度仕様・耐圧を考えると金属製となりますね。

では、マグネットポンプという点ではいかがでしょう。

大西氏:メカニカルシールポンプはだいたい半年から1年ぐらいでバックプレートやOリングの部分から液漏れが発生してきます。マグネットポンプは構造上液漏れしませんからその点は安心です。

中村課長:当工場の別ラインで、マグネット式ポンプのトラブルがありました。三和さんの製品ではなく樹脂製のものです。そのような背景の中で、先行して納入されていた白州工場ではトラブルがなかったと聞いて興味を持ちました。

それが導入のきっかけになったのでしょうか。

中村課長:確かに興味はありましたが、実際には装置メーカーさん経由で三和さんのポンプを採用しています。奥大山に至るまでの、白州工場での導入時のことが参考になると思います。

南アルプス白州工場でのスピーディーな対応と実績が奥大山、熊本工場への導入へ

今回の取材ご担当者ではありませんが、ちょうど白州工場導入時の技術者のかたが同席されていましたので当時のお話しを伺うことができました。奥大山工場とは別件になりますが以下に要約して掲載させていただきます。

節水がきっかけに

『水理念』を掲げ、「水と生きる」企業であるサントリーグループ様では、水を大切に扱われます。メカニカルシールポンプではシール摺動部の冷却に水を使いますが、この水は冷却以外の用途には使われず排水となります。マグネットポンプは軸シールがないため注水がまったく必要ありません。
すでに設計は、シールポンプを前提とされていたのですが、サントリー様が節水に関心を示していただき、試してみようということになったのがもともとのきっかけです。

三和ハイドロテックの印象

白州ではトラブルがなかったということですが、これは本格的な生産に入ってからのことで、試運転調整時には合計4回のトラブルがありました。滅菌器の熱水循環において高 温時と低温時の温度差が大きく、水の熱収縮が起こりキャビテーション(液中発泡現象とその消滅による衝撃)が発生する瞬間があったというものです。
試運転までに4回ポンプが損傷しましたが、都度の緊急対応により試運転に支障が無いように復旧できました。このときの素早い対応が好印象だったとおっしゃっていただいたのはうれしい限りです。また、トラブル原因を突き詰めて装置メーカーさんと一緒に壊れない制御を組むことが出来たため、生産に入ってからの運転ではノートラブルであり、その実績が奥大山、熊本へと繋がりました。

奥大山ブナの森工場での導入台数・時期について教えて下さい。

滅菌器の熱水移送に使用されるマグパック。前後2台配置。

滅菌器の熱水移送に使用されるマグパック。前後2台配置。

熱交換後の移送に使用されるマグパック。こちらも計2台設置。

熱交換後の移送に使用されるマグパック。こちらも計2台設置。

中村課長:導入台数は5台、導入開始時期は2016年の10~11月ごろです。こちらのポンプを使用して実際の生産を行ったのは2017年の3月からです。フル稼働に入ってからは半年少しというところでしょうか。試運転時からのトラブルはありません。

その他お気づきのところはありますか。

トラブルなしで稼働中!

トラブルなしで稼働中!

中村課長:もともと想定していた以上の温度でも稼働します。150℃弱の温度まで上げてみましたが問題ありませんでした。

改善してほしいところはありますか。

中村課長:現在はユーティリティラインにて使わせていただいてますが、製品ラインに使えるようなHACCPに準拠したサニタリー向けの製品はラインアップされないんでしょうか。サイズや分解せずに洗浄する構造などクリアしなければならない点はありますが、クリーン性は実際にあると聞いていますので。また、メカニカルシールポンプはランニングコストが多くかかり、余計な水も消費します。そういう点でもマグネットポンプは導入に際して有利だと思うのです。サニタリー性を強めていただければと思います。

――とてもありがたいご意見と思います。サイズやコスト面、分解せずに洗浄できる構造などクリアしなければならない課題もありますが、私たち三和ハイドロテックの進む方向として、ぜひ前向きに検討させて頂きたいと思います。

生産にあたっていちばん大切なことは何でしょうか。

(左から)弊社営業部 松尾、サントリープロダクツ社 中村課長、製造技術G 大西氏、弊社営業部 遠藤

(左から)弊社営業部 松尾、サントリープロダクツ社 中村課長、製造技術G 大西氏、弊社営業部 遠藤

中村課長:洗浄です。私たちは「製品を作るのと同じぐらい洗浄は大切である」と考えています。とくに天然水はわずかな着香もないように特に気を使っています。

着香とはどのようなことですか。

中村課長:着香とは余計な香りがついてしまうことです。この工場では天然水だけではなく、オレンジ風味、ヨーグルト風味の飲料も生産していますから、その味と香りをお互いの製品に移行させないための工夫をいろいろと行っています。

水を大切にすると森への意識が高まる

SDGsについてはどのようにお考えでしょうか。

中村課長:2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」のことですね。SDGsはすべての国の人々に向けた包括的なものですから、サントリーとしてはその中で私たちとしてできることに取り組んでいます。

具体的にはどのようなものですか。

奥大山 蒜山地方の景色

奥大山 蒜山地方の景色

中村課長:天然水は森で育まれます。私たちは、奥大山ブナの森工場の上流で「天然水の森」づくり、すなわち涵養林を育てていますが、2020年には「天然水の森」が工場で汲む2倍以上の水を生み出せる面積となるように活動しています。山林は放置しているだけではだめで、たとえば日光を森の木に当たりやすくするために間伐などの作業を行わなければなりません。このような活動に社員全員が参加しています。

全員で作業をしているのですか。

豊かな森から美しい水が生まれる

豊かな森から美しい水が生まれる

中村課長:もちろん、工場の従業員が一斉に作業をしているわけではなく、交代で作業に参加しています。大切なのは、まず自分の足でブナの森の中を歩き経験することだと思います。森の中に身を置き、水の染みこみやすい土とはどういうものなのかを考え、土のふかふかさを体験し、水を蓄えてろ過する土とはこういうものなのだと実感するところから生産は始まっているのだと感じます。
私は、水は森の神様がくれたものだということが、本当に理解できるというか、自然と体の中に入っていくように感じます。もちろん私も「天然水の森」に入りいろいろな作業を通じて森を見て、触れて、感じてきました。だからこそ素直にそう思えますし、社員だけにとどまらず、専門家の先生、そして地域の人々と一体となって活動することで、私たちが提唱し、SDGsの理念にも共通する「水のサスティナビリティ」が実現できるのだと思います。

――ご協力、たいへんありがとうございました。

サントリー天然水 奥大山ブナの森工場を訪ねて

米子自動車道蒜山(ひるぜん)ICを降り、県道482号を北西へ。あたりにそびえる山々は冠雪し、雄大な景色の中を車で進むこと約20分、サントリー天然水 奥大山ブナの森工場が大自然の中に姿を表します。防風雪のため張られたシートをくぐるとそこには風除室を兼ねた2重の自動扉が設置され、外側が閉まらないと内側の扉が開かない構造になっていました。外部のホコリなどを工場内に入れないためのしくみと思いますが、このようなところにも品質に対する姿勢が現れていると感じます。
また、工場エントランスにはふんだんに天然木が使用されています。使用されている木材は、森を育むために間伐した木を有効に利活用したものだと後から知りましたが、その空間は心地よく、先進的な工場とは技術面だけをクローズアップするだけではなく、人と技術と環境との調和なのだと感じさせてくれます。
工場エントランスに置かれた表彰状からは、省エネ、緑化推進、ものづくり先進性の高さに対する功績が表彰されていますが、経産大臣や日本を代表する著名な団体・企業から贈られたものでした。
サントリー天然水 奥大山ブナの森工場では、一般のかたも予約することで見学ツアーに参加できます。

工場エントランス

工場エントランス

掲げられた表彰状

掲げられた表彰状

サントリープロダクツ 株式会社

所在地:
〒689-4424
鳥取県日野郡江府町大字御机字笠良原1177
竣工:
2008年(平成20年)
敷地面積:
約29万㎡
サイト:
https://www.suntory.co.jp/factory/okudaisen/
サントリープロダクツ 株式会社