CASE STUDY 導入事例
クラフトビール醸造設備メーカー
株式会社一ノ瀬 様
株式会社ONE's 様
「地ビール」「クラフトビール」と呼ばれる小規模醸造所でつくられる個性豊かなビールの躍進が続いています。大規模醸造所(大手ビールメーカー)ではなかなか冒険できない独特の味・香り・素材に果敢にチャレンジし、多数のファンを獲得しているクラフトビール。株式会社一ノ瀬はこの業界において、醸造設備の設計・製造から免許取得のサポートまでを行なっています。
同社は醸造設備だけでなく、一ノ瀬グループ会社の株式会社ONE'Sで自社製クラフトビールを醸造。大阪・北浜のパブ「ONE's BREWERY(ワンズブリュワリー)」で提供し、ビールを飲むお客様とフェイス トゥ フェイスで接しながら“本物”の醸造設備とは何かを追求しています。
ONE's BREWERY(ワンズ ブリュワリー)は設備の設計・製造、醸造、提供を行う一ノ瀬が提唱する「小規模醸造所、はじめませんか?」の大きなショールームと捉えることもできます。
三和ハイドロテックでは、醸造所にマグネットポンプ「マグパック」シリーズを2台、実店舗の「パブ北浜 ONE's BREWERY」にマグネットポンプ「サニマグ」シリーズを1台納入させていただきました。一ノ瀬様がプロデュースするクラフトビール醸造設備では、マグパックを多数ご採用いただいています。まずは実際のビール造りを手がける株式会社ONE’s、醸造責任者の鈴木様からお話しを伺います。(以下、敬称略)
ポンプに求められるのは「洗浄性能」
Q. こちらで製造されているクラフトビールについて教えてください。
鈴木氏:ここにあるのはクラフトビールの醸造設備で、1回の仕込み量は500リットルです。ビールは麦芽とホップを原料としますが、大麦に熱を加えて焦がせばいわゆる黒ビールになりますし、ホップも使う種類によって香りや苦みにかなりの差が出ます。このような素材を組み合わせながら、オリジナルのビールを醸造しています。
Q. 1回の仕込み量500リットルとはどのぐらいの規模なのでしょうか。
鈴木氏:1回で仕込む量は醸造所によってさまざまですが、だいたい75~2000リットルと言ったところでしょうか。クラフトビールと呼べるのは1万リットルまでですね。
Q. クラフトビール醸造を手がけられたのはなぜですか。
鈴木氏:クラフトビールはお酒の中で比較的醸造技術のハードルが低い部類に入ります。ビールはだいたい1ヶ月から3ヶ月ぐらいの醸造期間で出来上がりますが、日本酒やウィスキーに比べて短い期間でできるためいろいろなチャレンジとその結果が早くわかります。熱の加え方や焦がしかたでビールの色が変わりますから、少しずつ条件を変えることで自分がよいと思えるビールの追求ができます。また、香りや苦みの要となるホップは種類が多く、その選択によってもビールは変わります。これからはじめる小さな醸造所では、ビールは個性や自分の好みを出しやすく、結果も早くわかるため、いろんな種類の中でもクラフトビールに注目したのです。
Q. クラフトビール醸造でポンプに求められるものは何でしょう。
鈴木氏:ズバリ「洗浄性能」です。ビールは他の種類と比べてアルコール度数が低い飲料です。そのため、他の菌に冒されやすく特に乳酸菌が入るとすぐにダメになってしまいます。通常の液送に使いますが、ビール製造では洗浄と殺菌が頻繁に行われるためそのメンテナンス性能や耐高温性能も必要になります。
Q. その他のご要望がありましたらぜひ伺わせてください。
鈴木氏:あたりまえといえばあたりまえなのですが、「壊れない」ことも大切です。醸造が停まってしまいますから。軸シールポンプはシール部がよく壊れます。あと、いままでの軸シールポンプは音がうるさくて気になりました。
――ここからはシステム開発課 柴田部長様にご案内頂きます。
ノーメンテがいちばん!
では、三和ハイドロテック製ポンプの設置現場にご案内をお願いします。
柴田部長:三和ハイドロテックさんのポンプは冷却液の送液に使っています。冷媒を屋上へ送り、熱交換器で放熱して再び醸造所へ送る役割をしています。
Q. 三和ハイドロテック製ポンプを採用した決め手はどのようなところですか。
柴田部長:冷却液は有毒なものだから、漏れたら困ります。三和さんのポンプは漏れないので採用しました。
Q. 実際にご使用頂いた感想はどうでしょうか。
柴田部長:このような屋外の環境で24時間、365日ずっとこのポンプは回っていますが今のところまったくノーメンテで使えています。また、温度がマイナスの域まで使えるポンプは少ないのですが、これは使えます。三和さんのポンプは特性図がしっかりとしていて、こちらは-5℃まで使えるというのが条件だったのですが特性図の範囲に入っていて、実際にノーメンテで稼働しています。
Q. その他にお気づきの点はありますか。
柴田部長:このポンプは1階の制御盤で動かしていますが、振動などもありませんね。インバータ制御をしているのですが、音も静かで業務の妨げになりません。この建物は2016年に新築されました。そこからトラブルはありません。ノーメンテがいちばん!です。
Q. システム開発の立場からクラフトビールづくりで大切なことは何ですか。
柴田部長:まずは温度管理が大切です。クラフトビールの醸造では温度を人の手で調整していることが多いと思います。私は、そこを条件に合わせて自動で調節できるようにしたいと思います。インバータ、シーケンサ、コントローラなど要となる電機部品は日本製が優れているでしょう。地に足が付いた実際に効果を伴うシステムはすぐにはできません。いろいろトライしている中から生まれるものだと思います。
Q. ポンプについてもご意見をいただけますでしょうか。
柴田部長:この醸造所もそうですが、冷媒を地上4階まで上げています。ポンプについては圧力がどこまで出るかということがポイントです。海外製のものはあまり圧力が出ません。また、洗浄も大切で、三和さんのポンプは軸シールがありませんから、汚れの溜まる箇所も少ないのです。
――ここからは特販部の中嶋様にもクラフトビール事業のこれからについてお話しを伺いたいと思います。
クラフトビールは地産地消だから細かなフォローを
Q. まずはクラフトビール事業部の発足について教えて頂けますでしょうか。
中嶋課長:もともと一ノ瀬は工場にバルブなどの部品を納めていましたが、年月を経るにつれてユニットからシステム、そして工場全体を供給できないかと考えるようになりました。
Q. 工場全体となると難しい箇所も出てきそうですが・・・
中嶋課長:一ノ瀬はバルブメーカーです。部品供給、ものづくりのレベルからノウハウが蓄積しており、流体制御、配管技術が得意です。バルブ、配管、ヨーロッパをはじめとする海外の電機部品や流体制御部品についての知識はなかなか他の会社にはないものがあると思います。
Q. メーカーが工場をつくるというのはお客様にとっても魅力的ではないでしょうか。
中嶋課長:この業界は最大5次ぐらいまでの流通形態があると思います。そのなかで、1次店がクラフトビール工場を造れるというのは施主さんにとってかなりの魅力だと思います。
Q. 単に設備を供給するだけでなく、ノウハウも伝授されていますね。
中嶋課長:そうですね、当社ではクラフトビールの新規セミナーを月に2回開催しています。深い説明をさせていただきたいと考えて、1回のセミナーは1組につき2名様まで、9組18名様に限らせて頂いていますがおかげさまで毎回満員の状況です。
Q. どのような方が参加されるのでしょうか。
中嶋課長:例えば道の駅を運営するコンサルタントさんなどでしょうか。道の駅で造られているクラフトビールはすでにたくさんあります。ご当地の果物などをビールに少し加えたりしたオリジナルなビールをつくられています。
Q. 造られた醸造所のフォローなどはどのようにされているのでしょう。
中嶋課長:醸造所というのは何もしなければ建設後数年で劣化が始まります。当社では先ほどの1次店であるということから建設後のフォローも安価でできるため喜んでいただいています。多くのタンクは海外製ですが、海外製品を使用した醸造所でいちばん怖いのは日本で流通していない部品の交換が必要な場合などです。
Q. そのようなときはどう対応されるのですか。
中嶋課長:当社は海外取引の歴史が長く、中国、ヨーロッパなど海外にも強いコネクションがあります。また、もともと部品メーカーなので部品供給が出来ることも強みであり、お客様にはご安心いただいています。なによりみずから醸造所を所有し、クラフトビールを造り、実際のパブを経営して販売しているので、施主さんの悩みもよく分かります。
――ご協力、たいへんありがとうございました。
株式会社 一ノ瀬様 採用製品
ステンレス製マグネットポンプ
- メカニカルシールがないため、シール水不要
- メンテナンス性が大幅に向上
- 接液部と駆動部が完全分離しているため液漏れ無し
- 省スペース設計に貢献
MPシリーズ
マグネットポンプ「マグパック」シリーズ MP型
型式名 | マグパックシリーズ MP420 |
材質 | SCS13(SUS304)製 |
モーター 仕様 |
0.75kW × 2P /200V /60Hz |
仕様 | 107L/min(6.4m3/h) × 15m |
取合い | 吸込 40mm/吐出 25mm JIS10kRF フランジ |
外形寸法 | 幅(ベース部)200 × 高さ 305 × 奥行き 480.5 mm |
重量 | 42.5kg |
株式会社 ONE’s様「ONE's BREWERY」 採用製品
ステンレス製マグネットポンプ
- 簡単に分解・洗浄が可能
- メンテナンス性が大幅に向上
- 接液部と駆動部が完全分離しているため液漏れ無し
- 省スペース設計に貢献
サニマグ
サニタリー仕様 セントリヒューガルタイプ サニマグ
型式名 | MS 2522-B6 |
材質 | SCS13(SUS304)製 |
モーター 仕様 |
2.2kW × 2P /200V /60Hz |
仕様 | 130L/min(7.8m3/h) × 29m |
取合い | 1.5S(吸込/吐出) |
外形寸法 | 幅 244 × 高さ 267.5 × 奥行き 525.5 mm |
重量 | 46.5kg |
インタビューに答えてくださった企業様
株式会社 一ノ瀬
株式会社 ONE’s
所在地:
〒550-0023 大阪市西区千代崎1-9-1
サイト:
http://www.insins.co.jp/