活用事例

環境試験装置・耐久試験装置・クリーンルームの設計・製造

株式会社 大西熱学 白井工場 様

大西熱学様は自動車業界向け、家電業界向けの環境試験装置・温度調整装置をはじめ、「空間の冷熱」技術を駆使して、求められる環境を創り出す企業です。今回は、エンジンをはじめとした自動車部品の性能検証を行う為の装置にて、LLC(ロングライフクーラント)循環用として当社のマグネットポンプ MPシリーズをご採用いただきました。1車種で年間数万台生産される乗用車において、-30℃~+120℃という極低温から高温までの環境でLLCを用いて性能検証を行う装置にはシビアな仕様が求められます。LLCの漏洩があった場合は環境的にも問題ですから、ポンプにも激しい温度変化の中で漏れのない液送が求められます。

株式会社 大西熱学 白井工場 様

(写真左)装置本部 本部長 山中 一弥氏
(写真右)装置部 装置設計Gリーダー 東 龍大氏
(写真右から2番目)弊社営業部 大村 実麻

株式会社大西熱学 白井工場では、液漏れが無く、コンパクトといった特徴を持つステンレス製マグネットポンプの中核機種「マグパック」シリーズのMP型、およびコストパフォーマンスに優れ、さらに省エネ・コンパクトな「ステンマグライト」M型を継続的にご採用いただいています。
今回は、山中本部長様、東 装置設計Gリーダー様にSANWAポンプご採用のねらいや導入効果、実際のご使用感などについて伺いました。(以下、敬称略)

「マグパック」について詳しくはコチラ

「ステンマグライト」について詳しくはコチラ

株式会社 大西熱学 白井工場 様
株式会社 大西熱学 白井工場 様
株式会社 大西熱学 白井工場 様

LLC温調装置

製品づくりに欠かせない環境試験装置

白井工場での製品について伺えますでしょうか。

執行役員 装置本部 本部長 装置部 設計担当部長 山中 一弥氏

執行役員 装置本部 本部長 装置部 設計担当部長 山中 一弥氏

山中本部長:主に自動車業界や家電業界向けの環境試験装置、もっと大きな環境試験室といったサイズのものも製造しています。

それは、どのような目的で使われる装置なのですか。

山中本部長:いろいろありますが、たとえば今回紹介のLLC温調装置では-30℃から+120℃の環境下でLLCの温度と流量がどのように変化するのかを、温度・流量それぞれ2系統の試験ができる装置です。
LLCはご存知のように冷却のための冷媒ですが、この装置は近年開発が進むEV(電気自動車)において、インバータやモータの冷却効果を見極める装置になります。

乗用車はシリーズ年間数万台生産されます。責任重大ですね。

山中本部長:その通りです。寒冷地でもLLCが固くならず余力を残して動くのか、ボンネット内の熱が逃げにくく、高温になりやすい環境下でも順調な冷却が行えるのかを幅広い温度環境下で試験し、問題ないと判断された製品を市場へと送り出します。このLLC温調装置が極寒から高温までの環境をつくり出し、市場投入までのテストが行われます。

どれくらいの精度が求められるのでしょうか。

装置本部 装置部 装置設計Gリーダー 東 龍大氏

装置本部 装置部 装置設計Gリーダー 東 龍大(たつひろ)氏

東氏:そちらは私からお答えします。スペック的には温度が±1~2℃、流量は±0.5リットル/分ですが、実力的にはもっと高い精度で運用が可能です。

温度・流量2系統というのは・・・

東氏:同時に低温系統と高温系統の2つの実験が行えます。この実験はクルマづくりには欠かせないもので、こちらはEV用ですが、ハイブリッドやエンジンの駆動でもこれまでもこのような実験が行われてきました。この実験を行うことで、EVモータやエンジンをいちばん効率のいいところで使うことができます。

それで、この装置ではマグネットポンプを2台ご採用いただいているのですね。

東氏:そうです。測定負荷まで温度が変わらないように断熱材で保護され、温度・流量がそれぞれ2系統あり、ポンプも2台搭載しています。マグネットポンプは作動時の熱発生が抑えられていますから、その点も良いですね。

温度・流量×低温/高温2系統

温度・流量×低温/高温2系統

温度・流量×2系統4本のパイプ

温度・流量×2系統4本のパイプ

2台目のMPポンプ

2台目のMPポンプ

1台目のMPポンプ

1台目のMPポンプ

「小さい」「漏れない」ことの大切さ

この装置に当社ポンプをご採用いただいた理由をお聞かせください。

東氏:まず第一に大切なのはコンパクト性です。フットプリント(設置面積)はカスタマーから指定されますから、その面積を超えることはできません。ポンプは大きな部品ですから、性能が同じならできるだけコンパクトなものを選びたいと考えています。SANWA製のポンプは軸シールポンプに比べて小さい。わたしたちは部品選定においてまずポンプから決めるのですよ。

マグネットポンプであることはいかがでしょうか。

山中本部長:それも大きな選択理由になります。不凍液を使う装置は漏れることを前提とした場合、不凍液全量分のドレンパンを用意しなければなりません。不凍液は希釈されていればまだ緩和されますが、仮に50%濃度の不凍液が漏れた場合、環境への影響は大きなものとなります。メカシール構造のポンプははじめ「にじみ」が出ていずれは漏れ、トラブルにつながります。漏れた場合のLLCの排水には大量の水が必要とされ、環境面、作業負担のすべてにおいて多大な負荷が発生してきます。シールポンプを使用する限りそのようなリスクは発生してきますので「構造的に絶対に漏れない」というマグネットポンプの性質がここで大きな意味を持ってきます。

先ほどのフットプリントのお話しとも関連しそうですね。

山中本部長:この装置に、大きなドレンパンはありません。ですから、装置の設置面積も小さくてすみますし、ドレンパンのコストも圧縮できます。しかし、それ以外に、「環境的に安心できる」「トラブルの可能性が削減できる」ということが大切です。その意味では扱う液体は腐食性の高いものもありますから、樹脂製ではなくステンレス製であるということも選択の大きな要素となります。

なるほど、ご選択いただいた理由がよくわかりました。

山中本部長:この装置では、いまお話しした理由で採用していますが、別の装置ではコストパフォーマンス的な理由でも採用しています。そちらもご案内しましょう。

――ありがとうございます!

ポンプのバリエーションが豊かだから
状況に応じて使い分けられます

こちらはどういった装置になるのでしょう。

カロリーメーター装置内部

カロリーメーター装置内部

山中本部長:この装置はコンプレッサーカロリーメータです。エアコンコンプレッサーの能力を測るための装置で、家庭用やカーエアコン用がありますがこちらは家庭用エアコンの試験装置になります。

すみません、まだよくわからないのですが・・・

山中本部長:エアコンの室内機、室外機相当のものを装置でつくり出していると言えばいいでしょうか。エアコンは密閉された室内と解放された室外で使われますが、たとえば-5℃のブライン(冷媒)が流れるような、外が寒い場合を想定したエアコン能力試験に用いられます。

そこでSANWA製ポンプが使われるのですね。

SANWA製Mポンプ(3台とも)

SANWA製Mポンプ(3台とも)

山中本部長:そうです、装置内に黄色いポンプが見えますね。ステンマグライトシリーズのポンプです。このポンプは-20℃~+100℃までの液体を送ることができます。先ほどのMPシリーズの-30℃~+150℃よりレンジは狭いのですが、用途としては充分で、MPシリーズと比較してコストが抑えられています。
このあたりの能力とコストのバランスがわたしたちにとってちょうど良く、バリエーションが多く選べるところが助かっています。

ありがとうございます。それにしても整理された工場ですね。

工場

東氏:そうですね、基本と言えば基本なんですが、当社ではもっと大きな環境試験室といったような部屋そのものも製造します。幅6m程度のサイズで3部屋に仕切られたような仕様ですが、造るにはやはりある程度の面積と整理された環境が必要です。サイズは大きくても仕様はデリケートで、内容物の負荷も考慮した試験機を設計・製造しています。

ワイドレンジ・漏れなし・ノートラブル!

温調・空調の環境試験機づくりの難しさについて教えて下さい。

山中本部長:まずは要求事項をしっかりと理解することが大切です。お客様が何をしたいのか、話しの積み重ねを丁寧にしていきます。

東氏:大西熱学では、(営業職ではなく)設計者がいちばん前面に立ってお客様と話しを進めます。この部分も特徴かと思います。仕様ばかりでなく、時間的な制限もしっかりと確認します。お客様の製品開発スケジュールは決まっていますから、試験機でお客様の開発を遅らせるわけにはいきません。先ほども話題に出ましたが、ポンプは環境試験室のキーコンポーネントです。だからわたしたちはポンプの選定から行います。

SANWA製ポンプとの出会いはどういったものだったのでしょうか。

山中本部長:いちばん最初はいろいろなポンプをさがしました。特殊な領域、高温・低温に対応したものから探し始めますが、その中で出てきたのがSANWA製ポンプです。調べてみると、揚程や対応温度がすごくワイドレンジでした。それと、扱う液体がLLCなので「漏れちゃいけない」という条件があります。その点もマグネットポンプの構造が合っていました。

実際にご使用頂いた感じはどうだったでしょうか。

東氏:採用した結果はノートラブルです。問題は一切出ていません。装置を納めてから交換すらしたことがありません。

それはうれしいお話しです。それでは、SANWA製ポンプへのご要望などはありますか?

東氏:要望といえば、インペラのカットにも対応してくれて助かっています。低温域の試験はポンプの出力も負荷になってしまいます。そのため、お客様仕様に合わせてインペラを小さくしてもらったりしましたが、このような要望にアジャストしながら提供してもらえるのも、ものづくりのスタイルが合っているのかなと感じています。

これからの大西熱学様の方向性を伺えますでしょうか。

山中本部長:70年以上にわたり、高温・低温の温度管理技術、そして圧力技術を使って製品を造ってきました。進んできた方向や、これから進む方向は変わりません。
自動車にしろ家電にしろ、市場には万単位の製品が投入されます。万一、リコールや回収などがあった場合はメーカー、ユーザーともに大変な状況になりますから、千差万別の使用環境であっても、その使用に耐えられるような環境試験を行うことには大きな意義があります。テストなしで市場に出すことはできないと言えます。私たちは、時代の最先端で投入される新製品が、安全にご使用いただけるよう、今までも、そしてこれからも取り組んでいきます。

御社のシンボルマークは青・赤の2重円となっています。
高温・低温を扱われる企業という意味が込められているのでしょうか。

山中本部長:青は冷却、赤は加熱、円は安定のイメージで、シンボルマークとして採用されています。当社の歴史の中でフロンの使用禁止は大きな転換点でした。その時も、持てる技術と知識で課題を乗り越えて今に至ります。自動車、家電など生活に密着した製品の開発サイクルは短くなっています。EVに代表されるようにこれからも新しい製品は市場に投入され続けますが、その時みなさまに安心してお使い頂けるようにわたしたちは有用な環境試験機を造り続けます。上市される製品が変化するように、わたしたちも新しい業界・分野に挑んでいきたいと考えています。

東様からも伺えますでしょうか。

東氏:入社以来25年、需要はその都度移り変わってきました。自動車はいま、EVという大きな転換期にあたります。当社製品はこれから市場に投入されるお客様製品の試験器ですから、いつも最先端の技術とともにあります。だからとても緊張しますが、同時にお客様と一緒に新しい時代を切り拓いている感覚もあります。当社製品を通じていろいろな製品を製造する産業の発展に寄与できればと思います。

――本日はたいへんありがとうございました。

株式会社 大西熱学
白井工場

所在地:
〒270-1403
千葉県白井市河原子240-8
サイト:
https://www.ohnishi.co.jp/
サントリープロダクツ 株式会社

LLC温調装置