STORY ポンプのお話

ポンプの軸シールについて

ポンプの軸は高速で回転しているので、回転摺動部から液が漏れやすく、何らかの 方法で軸を封(軸封)じて漏れを押さえます。ポンプの軸シールには、グランドパッキ ン方式とメカニカルシール方式とがあります。

グランドパッキン方式

古くから水ポンプや油ポンプの軸シールに広く使われている方式で、パッキン箱内にリング状またはスパイラル状の詰め物(パッキン)を入れて締め付け、円筒内面と軸接触面でシールするものです。パッキン材料としては石綿、化学繊維、テフロン繊維、炭素繊維などがありますが、それらの繊維だけでは浸透漏洩するので油、グリース、黒鉛、テフロンなどを充填  して漏洩と潤滑作用をもたせています。また中間にランタンリングを入れて通液して、空気の侵入、冷却、潤滑をします。運転は、漏れ量と温度上昇(摺動熱)などの状況を見ながら締め付け調整します。最も簡単な軸シールですが、多少ぽたぽたと濡れながら(10~20CC/min)使用するもので、水などの外部に漏れても良い液しか使用できません。

メカニカルシール方式

メカニカルシールは、固定面と回転軸に取り付けられた回転面からなり、両面とも精密鏡面に仕上げてあり、面と面を押し付けて回転接触によって滴れを止めるのが、その原理です。固定部、回転部共に取り付けは0リング、Ⅴリング等の弾性体で固定して軸の振動や偏心にも追随して密着シールするようにしています。回転接触面は始めから低圧でも面が密着するようにスプリング等で押しつけられており、さらに液の圧力でも押し付けられるように設計されています。石油化学、石油精製などの装置に使用されるポンプのほとんどが軸シールにはメカニカルシールが装着されています。これは薬液や炭化水素液などの液漏れや漏洩ガスを完全に無くし、保安、保守上からも非常に望ましい状態を作り出せるからです。 メカシールからの漏れは、にじむ程度(3cc/hr以下)です。摺動面の材料は、カーボン、セラミック(酸化クロム、SiC)、超硬などの焼きつきとか磨耗しにくい材料が組み合わせ使用されます。

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