揮発性液に対するカスケードポンプの成功事例
概要
導入製品 | MSW カスケード・ステンレス・マグネットポンプ |
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カスケード・ステンレス・マグネットポンプ MSW
三和ハイドロテック社のカスケードマグネットポンプ MSW機種は、米国石油化学最大手D社(ノースキャロライナ州)の揮発性液(フルオロカーボン)搬送で、懸案のキャビテーション問題を解決に導き、高い評価を受けています。
(ここでは、ポンプ専門誌WorldPump掲載記事の日本語抄訳をご紹介します。)
当初、D社の技師K氏は特殊な性能を備えたポンプが見つからず難問を抱えていた。ポンプには2つの要求を満たす能力が必要だった。1つは蒸留塔の下部に据え付けて揮発性の高いフルオロカーボン液を循環させることが可能なこと。もう1つは最終製品を、できるだけキャビテーションを起こさず送液できる能力である。システム側も、ポンプに液圧を100 psi(6.9 bar)まで上昇させる間、一貫して2ft 以下のNPSHで運転できる事を必要としていた。更に、わずか2~3 gal/min (0.45~0.68 m3/Hr)の流量で運転する能力も要求されていた。
様々な種類のポンプを試したが好ましい結果がでなかった。「キャンドモーターポンプでは冷却効率が十分でないため、圧力付加のポットが必要となり、その分だけ送液距離は長くなった。」とK氏 は述懐する。またダイヤフラムポンプ(膜ポンプ)も試してみたが慢性的な液漏れと、ひどい吐出流量の変動があることがわかった。
「最終的に、F施設から来たD社のメカニック技師T氏は三和ハイドロテックのカスケードポンプを使うよう提案した。」とK氏 は話す。「MSWは様々な特徴と利点を備えていて、今回の仕様にふさわしい」と。
三和ハイドロテックのカスケードポンプ MSW は、流量-圧力曲線が急勾配で、システムの圧力変動による流量の変動が最小に抑えられるという特徴がある。その流体設計のおかげで低い吐き出し圧力で送液するという点では、MSWポンプのインペラは従来のインペラとは異なる振る舞いを見せた。ほかの渦巻きポンプとは違い、MSWポンプはキャビテーションを起こさず、揮発性の高い液体を扱うことができた。
このポンプはシールレスのマグネット駆動式で液漏れもない。ちなみに高温の液体を扱うときは、高価なメカニカルシールを用いるとトラブルが起こるケースがある。マグネットには信頼性のある希土類ネオジウム永久磁石を用いており、スリップのない同期回転が得られ、発生する熱量も小さい。発生する熱量が小さいということはこの仕様液にとっては重要なことであった。なぜなら蒸留塔内のフルオロカーボン液の液温は常に100℃以上であるからである。(つまり入熱を抑えることで揚液が気化する危険を回避できるからである。)
T氏は、三和ハイドロテック社のカスケードポンプの性能について、 Magnatex® 社 Carolina地域 の代理店であるFluid Solution Inc. を通して知った。約一年前、工場に最初の MSW ポンプを設置した。接液部の材質は 316SS、1.5HPの全閉外扇式電動フランジモーターを用いており、NPTのネジ山の配管がついている。その後トラブルは全く起きていない。
「MSWポンプの、シールレスマグネット駆動方式、そのインペラ形状、そして特有の性能によるトラブルフリーの運転は、私の予想をはるかに超えていた。」とK氏 は言う。そしてこの設備において同様の仕様に対するMSWの5台の追加導入が決定した。